2016年3月30日水曜日

Beyond 4Cs

数学者の視点からダイヤモンドの輝きを理論化し、現代のブリリアントカットの

基礎となるプロポーションを導きだしたマルセル・トルコウスキー。

そのマルセル氏の甥にあたり、現代最高峰のダイヤモンドカッターの

一人とされるガビ・トルコウスキー氏によってカットされた

ダイヤモンドを見る機会に恵まれました。

ガビ氏のダイヤモンドはヴィクトリアンボックスでも過去に

一度だけご紹介していますが、スタッフNは初めてのご対面になります。



作業工程がオートメーション化され自動研磨機によって

大量”生産”される現代のダイヤモンドとは一線を画し、

氏の工房では今も素朴な研磨盤(スカイフ)とドップを用い、

中世のカッター達と同じ工程を踏みながら

ひとつひとつ丁寧にハンドカットされているとのこと。

ダイヤモンドカッティングを作曲になぞらえ、原石との対話によって

その石を最も美しく見せるカットを導きだすガビ氏のフィロソフィー。

その姿は大理石との対話から掘り出すものの姿を探り当てた

ミケランジェロにも重なります。

正直に言って1ct以下の石では分かりづらいのですが、

真骨頂とも言える2ctを超える大粒になるとその良さが

ふわりと花開き、それぞれの石の貌がくっきりと見えてきます。


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パヴィリオンの部分のカット面数を増やした多面カットはガビ氏以外にも

様々なブランドから考案されていますが、基本的にある程度

場面がある大粒の石でこそ生きる、というのが私の個人的な感想です。

ダイヤモンドの美しさはカット面が織りなす光と陰のモザイクの

バランスによってもたらされるもの。

狭い場面の中でモザイク(カット面)が細かくなりすぎると

輝きのダイナミズムが失われ、露出オーバーの写真のように

石全体が白とびしてしまうような印象を受けます。

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(こちらの写真は公式サイトからお借りしています)

ガビ氏のカットの持ち味は柔らかく繊細な輝き。

あえて例えるなら和菓子の琥珀糖のような、ぱりんと割れてしまいそうな儚さを

内包しつつ、はんなりとした品の良さが内面からほわりとにじみ出てきます。

テーブル面の光のウィンドウ(抜け)が無く、そのため一度石の中に入った光が

閉じ込められ、その中で永久に反射し続けているような不思議な錯覚に捕われます。

 1つ1つ異なる原石の個性を慈しむ心をそのまま結晶化したような

どこかぬくもりのある美しさは趣は違えど、

アンティークダイヤモンドにも共通するものが。




Clarity(透明度)Color(色)Carat(大きさ)Cut(カット)

所謂4Cはダイヤモンドの主要要素を数値化した通信簿。

トレーディングツールとしては非常に優れていますが、

通信簿に映し出されるのがその人の一面でしかないように、

それだけに捕われてしまうとそれぞれの石の持つ美しさや個性を

見落としてしまう危険性をもはらんでいます。

そばかす(インクルージョン)を欠点と見るかどうかは人それぞれ。

美人ではないのに何処か惹き付ける所がある、、、と偏屈な隣人に

言わしめたアン・シャーリーのように、時にはそんな細かな特徴が

瑣末に思えてしまう位のくらいの魅力に捕われることもあります。

ヴィクトリアンボックスにいらしたら、一旦4Cは忘れて

まずご自分の心で美しさを”感じて”ください。

ガビ氏も言っているとおり、

“ Each diamond is another beauty “ (どのダイヤモンドも違って美しい)のですから!



締めくくりの3枚はヴィクトリアンボックスのコレクションから

アンティークダイヤモンドを。

何とも形容しがたい神秘的なハシバミ色の中に立ちのぼる光は

思わず”4Cが何か?”と言いたくなってしまう規格外の魅力に溢れています。





★こちらのハシバミ色のダイヤモンドリングはご売約です。ありがとうございました★



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